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「え? 貰ってないよ?」
「なん……だと!?」
「ま、まさか……相部屋!?」
アリスは驚きの声をあげる。
「待て、早まるな。確認する」
直樹は通信機能付き翻訳機を装着する。今思えばコンパクトなのに多機能、すごい。
「なにそれ?」
「これも貰ってないのかよ……あ、ミハイルだっけか?」
直樹は事情と用を言う。すると、笑い声が聞こえた。
『悪い悪い。こちらの手違いだろう。すぐに部下が行く』
「部下って……お前、偉かったのか?」
その時、足音が聞こえ、振り返った。そこには鍵と翻訳機を持った人が居る。アリスは受け取った。
「おいテメエ」
『おっと急用だ。失礼するよハハハハハ!』
相手に通信を切られた。直樹は落ち着いた動作で翻訳機を外す。
「あの野郎! 逃げやがったぁ!」
直樹は大きくのけぞる。そのせいで、たまたま歩いていた黒髪の女性とぶつかった。
「あ、失礼」
「いえ、こちらこそ……」
髪に隠れ、顔は見えなかった。女性は足早に立ち去った。
「なぁ、アリス……」
「なに?」
「あいつ、髪切った方がよくないか?」
「そうね」
二人の視線を知らず、足首まで髪が伸びている女性は角を曲がっていった。
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