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ミハイルは驚いた後、冷静に指示を出す。その指示を聞いた部隊が逃すまいと、犬型のいる場所に走っていく。
*
「慌ただしい……」
サイレンを聞いて、直樹はそう思った。保管庫にあったリュックを回収したところだ。
「ただ事じゃないな……」
念のため、ナイフを持って歩く。隣にいるアリスは武器を持っていない。自然、直樹が先に歩くことになった。
ほんの五メートルも進まない内に、まっすぐこちらに走ってくるフントを見つけた。
「嘘だろ!? 落ち着けないのかよ!」
直樹はリュックをアリスに渡し、刃先の欠けたナイフを構え直す。そして走った。
「でりゃあ!!」
すれ違い様、ナイフを喉に突き立てる。フントは直樹に引きずられるようにし、血痕を伸ばした。直樹は頭を踏みつけるとナイフを引き抜く。鮮血が服に付着する。
「チェックメイトだ」
何度も突き立てられるナイフが、フントの首をズタズタにする。フントの痙攣は緩慢になり、やがて止まった。
「一丁上がりっと」
その時、ドタバタと足音が響く。ライフルを構えた兵士たちだ。
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