第一章 花籠のサリア

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寺院での勉強の合間に、私は殺風景な寺院の周りに花の種を蒔いた。なだらかな丘の上に建つその古い寺院は、町の規模からするとやや大きめではあるが、いささか色美に欠けていたのである。 幼い私は自分の家から持ち出した農具使い、寺院の周りを囲むように花の種を蒔いた。種はやがて芽を出し、美しい四季折々の花を咲かして寺院を飾るようになった。 寺院の建物からちょっと離れた所に花畑を作り、そこに咲いた花を大きなカゴに入れて家と寺院の道を通い行き来した。  道すがら、知り合いに「あらサリア、何を持っているの?」と聞かれれば、私は務めて気ににする風でもなく「お花よ。私が育てたの。」と、それが全く大した事でもないように答えて回ったのである。 わざわざ目立つように大きなカゴに藁を細かくした物を入れ、その上に花を飾った物をさも大変そうに両手で「よいしょよいしょ」とか萌え萌えに言いながら持って歩いたのである。 それは効いた。狙った通りに効いた。ひと月もしないうちに私は「花籠のサリア」の二つ名で呼ばれるようになったのである。
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