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私、サリア・ソルリトスは見入っていた。何に?暗い石造りの一室で繰り広げられる戦闘に。
豚にそっくりな顔をしたオーク(豚鬼)が怒号を挙げながら粗末な造りの棍棒を振り上げる。
だが棍棒が振り下ろされる前に、そのオークの頭は脂肪だらけの体から離れていた。
オークの首をはねた人物は、驚く事に素手である。しかも、鎧などの防具の類もその身に付けていない。
濃い青の、体にぴったりとした薄手の衣服と覆面以外は、腰紐に通された淡い光を放つ指輪だけが唯一の装飾品だ。
成人男性としては少し低く感じる身長だが、衣服を身に付けていても鍛え上げられた肉体なのが分かる。
忍者。極限にまで鍛えられた肉体から繰り出される攻撃は、素手の手刀でさえ名剣の切れ味を持つ。敵の急所を突き、一撃で倒す事も出来る闇の戦士である。
経験を積めば、独特の鍛法と呼吸法でなんの防具を身に着けなくても、身体自体に鋼の鎧以上の防御力を持たせる事が出来る。
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