0人が本棚に入れています
本棚に追加
その忍者のすぐ隣では、全身を漆黒の鎧兜に包んだ人物が一匹のオークと向き合っていた。
兜も鎧も盾も、見る者を威圧するような凶々しさを放っているが、その右手に握られた曲刀は更に妖しい気を放っていた。
ゆるり、と反った刀身には、溜息が出るような美しい刃紋が広がっていた。
よくよく注意して見れば気付くが、美しい刃紋は表裏全く同じである。
不意に、ついついつい、とその切っ先が右に左にと振られた。
オークは一瞬びくりっと身構えたが、その人物が自分に向かっては来ないので、豚のような声で何言かを喚きながら一歩前に出た。
いや、歩こうとしたが、オークの両足はその場に残っていた。
オークの身体は石の床に倒れこみ、床に着く前にバラバラになり10枚ほどの肉片になっていた。
きれいに輪切りにされていたのだ。刀身はオークに触れてもいなかったのにである。
オークは眉間に皺を寄せた表情のまま絶命していた。
侍。洗練し鍛え上げられた異国の剣「カタナ」を振るい、気で物体を斬る事を極意とする東方の戦士。
レベルが上がれば魔法も取得することが出来る、一騎当千の魔法戦士である。
最初のコメントを投稿しよう!