序章

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戦士に粗末な斧を振るうオークは汗だくになり、息も上がっていたが、全くと言っていいほどその攻撃は鎧には届かない。オークの斧が鎧に届く前に見えない障壁によって流されているように見える。 しかも、対する戦士は両足を石の床に踏張り、自分を攻撃しているオークに向かって「どうした!あきらめるな!」とか「もっと腕を高く振り上げるんだ!」と叱咤激励しているのである。 戦士の胸ほどの身長のオークは、それでも汗だくになりながら脂肪まみれの醜い肉体をぶるんぶるんと振りたくりながら斧を振るう。 その情景を分かりやすく記すなら「AKB48のステージ最前列によくいるキモッキモが、オタ芸打ちながらスティックライトを振りまわしている図」であろうか。 姿形はキモッキモもオークもどっこいどっこいの醜さであるが、いい歳して親からもらった小遣いでアイドルのコンサートに通うキモッキモよりも、自分の肉体を使い、自分の命を賭けて糧を得ようとするオークの姿の方が強く強く輝いて見える。
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