序章

6/7
前へ
/27ページ
次へ
オークの振り上げた粗末で刃こぼれだらけで錆だらけの斧が戦士の兜に絶妙な角度で当たり、ガィン!と派手な音を立てた。それまでオークの攻撃に身じろぎ一つしなかった戦士がよろめいた。 恐ろしげな、悪魔めいた意匠の面頬の下から赤い血がポタポタと輝白の鎧にしたたり落ちる。 オークは両手を挙げて喜ぶ。ブキーブキーと「やったー!!ついにやったでござるよ!あっちゃん!」とでも言っているのであろうか、オーク語で何かを叫びながらその場で飛び跳ねたりもしている。 オークは額の汗をぐい、と拭い「さあ、もう一踏張りだべえ」とばかりに斧を振り上げた。 戦士はそれまで振り上げすらしなかった剣を握ったままの右手でオークの顔面を一発殴った。 「痛えなこの野郎」戦士が怒りを絞りだすように言った。 見るからに邪悪な黒いサーベルの、角を生やしたドクロの護拳で殴られたオークは3メートルほどふっ飛び絶命していた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加