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無謀な恋かぁ…
思い切り落ち込む私を見て、奈緒は深く溜め息をついた。
「よし。ひなっ!この奈緒様が片っ端から調べてやろう!」
奈緒はそう一言いうと、勢いよく教室を出ていった。
―
今まで名前を調べることは出来たし、話し掛けるチャンスだってあった。
でも。
他の女の子と、一緒になりたくなかったから。
名前もクラスも住んでる場所も、何一つ私は知らないままでいた。
ただ一つだけ知っていたのは、あの人がサッカーをしている時の、真っ直ぐな笑顔だけ。
「何の関係もないのに、特別な存在になりたい、なんてやっぱ無謀だよねぇ」
私の独り言は誰に聞かれるでもなく、窓の外に消えていった。
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