第一章 僕の存在

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母さんはまた困った顔しながら「まぁそうなんだけど……お爺ちゃん変わってるから」って呟いていた 食事を終えて2階の部屋に入る ベットにタンスと必要最低限の物しかない殺風景な僕の部屋 今の僕には不必要な物が山程あったけどもし『空』が戻ったら悲しまないように『空』の荷物は捨てずに押し入れにすべて詰め込んだ 人工的に造られた世界 ずっと昔本当の世界は壊れたらしい 人が壊した地球と言う惑星に近い火星を人が住める環境まで作り替えたのだ 人々は貧しかった地球での生活の反動かある者は貪欲なまでに娯楽にのめり込み ある者は貧しさ故に窃盗や殺人を繰り返し結局力尽きて汚れきった路上で餓死する そうした格差が徐々に大きな溝を生み今の基盤が形成された 弱い者は弱いまま死に絶える 強い者は堕ちるしかない 上がれないが下がるだけの一方通行 格差社会は今に始まった事ではないから問題ではない それより問題なのは未確認生命体通称『影』 『影』は人を喰らい増殖する化物らしい
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