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どれぐらいその場に立ち止まっていたのか僕には分からない
時間なんて概念に興味がない僕にとっては今が朝なのか昼なのか夜なのかそんなくぎりですら面倒なのだ
でもそんな欠陥だらけの僕が彼女が何も話さない今がいつも以上に長く感じられた
「……ぜ?」
「?」
彼女が口を開いた気がした
全部雨音にかき消されて何を言ったのかは分からない
「なぜ?貴方は1時間もそこに居るのです?雨の中に」
っと今度はハッキリと聞こえた
弱々しいく警戒するような不信げな赤い目をこちらに向けながら
「……なぜ?………僕にも分からない」
「分からないのに居るのですか?」
「何でだろうねぇ?」
「私が質問しています」
「そうだねぇ」
「……」
「理由はないと多分思う」
「多分とは曖昧ですねぇご自身の事でしょ」
「僕にとって所詮自分も他人事だから」
「……」
「君は寒い?」
「…」
小さくだけど彼女は頷いた
あぁそう言えば僕の体もきっと冷えているのだろう
冷えた時は何をすればいい……?
……暖めるのか?
あと…冷えたままだと病気になるって母さんが言っていた様な気がする
きっと多分常識的な事なのだと思うが僕にはどうでもいい訳でこう言う時思い出すのは苦手だ
そんなことを考えていた
その時
彼女は死んだ
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