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「母さんじいちゃんは地下室?」
「えぇ空ご飯は?」
「…多分…いる」
「うん分かった」
僕は5年前の事故により記憶と軽度の無気力症候群を発症させた
無気力症候群は何事にも興味をなくす病気で重度の患者は1週間以内に餓死または窒息死で亡くなるらしい
つまり食事や息をする事すらどうでもよくなるそんな病気
治る確率は低いとか医者が言った時母さんがすごく泣いていたらしい
でもその事故の事さえ僕の記憶にはない
目覚めた時には知らない人(家族や医者)がベットの上の自分を取り囲むように見ていたくらいしか分からなかった
薄い暗い地下室へ続く階段を下りて錆びた鉄製の扉の先へ進む
部屋の中も暗く幾つかの青白い画面に集中して背を丸めてキーボードを打ち続ける老人が居る
紛れもなく僕のじいちゃんだ
「じいちゃん」
「……」
「じいちゃん」
「おわっなんじゃ空かビックリさせおって!おぃそこのコード踏むなよ」
「………」
と言ってまた画面に釘付けになるじいちゃん
多分どう歩いても踏むしかないような床を埋め尽くす色とりどりなコードを見下ろしてから顔上げる
「ねぇコレ治る?」
「なんじゃワシに直せないものはほとんどないぞ!ほれ貸してみろ」
そういいながら片手をこちらに出してくるがコッチは見ない
「……」
じいちゃんの手と背中の彼女を見比べたがじいちゃんの手に彼女はのせられそうにはない
「じいちゃん片手じゃ無理だと思う」
「いいから貸してみろ」
「分かった」
じいちゃんが貸せと言うから僕は彼女を下ろしてじいちゃんの片手に彼女を乗せた
「どわさっ!!?」
「…」
じいちゃんは彼女の重みで後ろに変な倒れ方をした
「…だから言ったのに」
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