第一章 僕の存在

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暗闇に慣れきっていた両目が廊下の明かりが見えた瞬間 目に微かな痛みを走らせ思わず目を瞑ってしまった 興味や関心は無くても痛覚はハッキリとあるのでめんどくさい 痛いモノは痛い訳で痛い事は興味が無くても『痛い』と思ってる自分に僕は『今日もちゃんと生きてるんだな』っと確信する もし痛覚すら感じなかったら僕はさっきの銀髪の少女と同じ『造りモノ』と同等の価値しかないのかも知れない 僕には痛覚はあっても思考はあやふやで言われた事だけしか行動出来ない 一方の彼女には偽りだが痛覚があり人格や意志がハッキリとある 命令には忠実にこなすが僕の方がまるで意志のない『造りモノ』みたいに思える そんな事考えてたら目が光に慣れて焦点がハッキリし始めた リビングには白いテーブルに4人分の椅子や家具だとかまぁ色々置かれている 壁掛けの薄型テレビモニターからは有名俳優(僕にとっては知らない優男)がケラケラと笑いながら女性アナウンサーと話しているが興味はない 母さんが用意してくれた手料理を椅子に座って眺める 5年前以前の僕の好物がソコには並んでいた 熱々のミートパイにカラッカス草とユキマチ草の香草サラダそれにチーズフレッチュ(スープ)が彩り鮮やかに並べられている 母さんの手料理は嫌いじゃない僕はあまり他人の料理を食べた事がないから分からないが母さんは料理上手だと多分思うし何より母さんの手料理を食べてると何故かホッとする きっと5年前以前の僕が食べ慣れているのを体や舌が覚えているのだろう
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