第一章 僕の存在

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「食べないと冷めちゃうわよ」 母さんがニッコリと笑いながらそう言ったので僕は「いただきます」と小さく言ってミートパイを口にした トマトの酸味と挽き肉や玉ねぎの食感に外側のサクサクしたパイ生地が口の中で絶妙にマッチしていると思うっと考えられたから『多分美味しいんだ』と僕は判断して母さんにも「美味しいよ」って言ってあげる そうすると母さんの笑顔がもっと明るくなる きっと母さんは僕の一言を喜んでくれているなだろう 僕の思考は予想でしかない 『多分』『きっと』『~っと思うから』それ例外に自分の現し方が出来ない 思っていても口にするのがめんどくさい 「ねぇ空」 「なに?」 「さっきの子お爺ちゃんに預けたって事はもしかして機械人形(ドール)なの?」 「うん…多分」 「そっかぁ~それで何処で会ったの?」 「公園付近のゴミ捨て場」 「空はソコからあの子を拾ってきたの?」 「うん」 「あのねぇ空」 「なに?」 「ゴミ捨て場にあるモノはねぇ勝手に持って帰っちゃダメなのよ」 「じいちゃんは持って帰ってくるよガラクタ」 「……それを言われちゃうと母さん困っちゃうな」 母さんが心底困った顔をしていた そうか…悪いことなんだ でも何だろう…言葉に出来ない胸の痛み?でも苦しみ?とも違う分からない何か…が胸いっぱいに覆ってる 「母さん」 「何?」 「多分僕は…よくわからないけど彼女と居たいんだ」 「……?」 「彼女…冷たかったんだ…冷たいと病気になるんでしょ?冷たいなら温めなきゃダメだから」 「……空…どうしてそう思うの?」 「……分からない…分からないけどモヤモヤ?するんだココが」 そう言いながら自分の胸に触る ドクンドクンっと脈打つ心臓 「……そっか…はぁ~今回だけ特別よ!次は拾っちゃダメ!いいわねぇ?」 「多分……それは僕よりじぃちゃんに言うべきだと思う……。」
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