愛する嘘

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「美音(みね)、雨が降った次の日には猫の集まりがあるんだ」 「ほんとう?よるにいちゃん」 私の叔父、夜(よる)兄ちゃんは幼い私の遊び相手だった。 ママ達が離婚しておじいちゃんの家に住むことになった私達は生活が一変した。 住む環境もだけど、ママは私の為に働きに出て、夜が遅ければママの妹の日向(ひなた)姉ちゃんが家事をして。 高校生だった夜兄ちゃんは私の遊び相手だった。 「美音、片付けをサボると妖精のオジサンがおもちゃを一つ一つ盗ってくぞ」 「ほんとう?オジサンのようせいなんているの?」 「あぁ」 夜兄ちゃんはいつも私に話を聞かせてくれた。 「美音、虹の下には妖精の国の入り口があるんだ」 「ほんとう?」 「さぁ、どうだろうな」 小さな私は夜兄ちゃんの話を信じてママがいない寂しさを直ぐに忘れた。 「サンタさんはどこにいるの?」 「実は他の世界にいるんだ。ずーっと冬の世界でサンタは子ども達へのおもちゃを作ってる」 「ひとりで?」 「いや、サンタは大家族で家族全員手伝ってんだよ。トナカイの世話もな」
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