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タカに腕を引っ張られたまま繁華街の路地道に入る。
タカが立ち止まった。
『痛いから離して!
友達待ってるきん手短にお願い…何?』
タカは背中を向けたまま黙っていた…。
『何も話しないんやったら行くきん…』
歩きだそうとすると
『何でや…』
タカが小さな声で呟いた。
『何で待ってなかったんや!』
その言葉を聞いた瞬間、私はすごく腹が立って来た。
『待ったよ!
でも会いに来んかったんはタカやん!
いつまでもタカに振り回されるんは嫌やったんや。
だから…タカの事は…諦めた。
もう私ん中にはタカはおらん…』
そう言ってまた歩き出そうとすると
『ちょっと待てや!』
とまた腕を掴まれる。
『会いに行きとぉても行けんかったんや!
俺パクられて鑑別送りになっとったんやぞ!
会いに行ける訳ないやろが!』
『そんなん知らんかったわ!』
マジ?
じゃあ何で誰も教えてくれなかったの?
姉ちゃんは何故…?
あっ…
だから…
『タカの事はやめとき…』
って言ったの?
じゃあ何で友達は教えてくれなかったの?
…私が拒絶したんだ…
タカと繋がりがある友達から自分で離れてみさにも
『タカの話題はせんといて…』
って…
そう頼んだのは私だ…。
『何でや?
俺…鑑別出てから何回も家に行ったんやぞ…
でもゆうはおらんし…
挙げ句の果てに噂ではゆうは男と一緒に暮らしとるって…
俺は一体何なんや?』
私は言葉を失くした…
何で?
って聞きたいのは私の方だよ。
何でいつもこんなにすれ違うん?
もうタカとの歯車は狂ってしまってるんだと感じた。
私はこの場から立ち去りたかった。
『友達…心配して待ってるから行くわ…
話なら聞くから…
後で電話する…』
そう言い残し私はその場を去った…。
自分が耳に入れようとしなかったのが悪いのは分かってる…。
だけど…残酷です。
こんな風になるなら…
一生タカに会いたくなかった…
タカへの想いが蘇りそうになる…
涙まで出そうになり天を仰ぐ…。
『こんなんで泣いてどうする!』
自分に喝を入れながら友達の元へ急いだ…
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