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『じゃあ俺先に帰るから、ちゃんと送ってもらえや。』
まじっすか!!
今日初めて会ってさっき初めて話した相手と2人っきりって!!
顔見知りの男の子は
『じゃあなぁ』
なんて言いながら帰って行ってしまった。
『じゃあ、行きますか?』
そう声を掛けられ
『あっじゃあよろしく…』
何かすごく恥ずかしくて自転車の後ろに乗るのもアタフタしちゃったり。
結構人見知りするタイプなんでテンパってました。
『大丈夫やからしっかり捕まっとけよ』
私の手を取り自分のお腹に手を回させる。
自転車は走り出した。
家までの道を教える以外、何を話す訳でもなく自転車を漕ぐ音、すれ違う車の音だけが聞こえて夜風がすごく心地よかった。
家の近くにバス停がある。
そこまで送ってもらった。
『ありがとう』
お礼を言うと
『お礼の代わりにちょっと時間潰しに付き合ってくれん?』
私の頭の中?状態。
『別に何かしよう思ってる訳やないよ(笑)話しだけ。』
『…あっうん…』
『ってか明日帰るん?』
『帰るよ。』
『そうなんや…大丈夫?』
『何が?』
『え~…つまり…元気出せよ。』
『…。』
『ごめん…聞いてもうたんや。気の利いた言葉が見つからんわ…』
あぁ…慰めてくれてるんだなぁって分かった。
それから自分の事や面白い事、友達の事…色んな事をたくさん話してくれて楽しい時間を与えてくれた。
気付いたら日付変わっててビックリしたケド。
『じゃ俺帰るわ。』
『アリガト。また帰って来たら遊ぼうなぁ。』
『いや…もう2度と合わんやろ(笑)』
『何でよ~』
『さぁ~分からん!』
『何やそれ(笑)』
……
『じゃあの…』
彼が手を上げ自転車を走らす。
『バイバイ』
私が叫ぶと振り返らず手だけを上げた。
ドンドン彼の姿が小さくなって見えなくなった。
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