新たな気持ち

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目が覚めると時計の針は10時を回っていた。 居間に降りて行くとやはり兄は帰って来た気配はなかった。 帰る用意をしなきゃいけないのにテレビを見ながら考えてた。 何かスッキリしない。 何でこんなに気になるのか… 私は好きな人に振られたばかりなんだよ… 昨日会ったばかりなのに… 何でこんなにタカの事が気になるんだよぉ… 『決めた!タカにもう一度会ったら何か分かるはず!』 私は一日帰るのを延ばす事にした。 取りあえず昨日一緒にいた友達の1人に連絡を取ってみる。 彼女みさは昨日行った家のタクの彼女だから今日も何か約束してるかも…。 『アレ?帰らんくていいん?』 『うん…延ばす事にした。』 『じゃあ一緒に行く?』 『うん。そうする』 昼にみさの家に行く約束をして出掛ける用意を始める。 今日帰らないとなると父から連絡があるはずだから、一応兄に置き手紙を残しておく。 用意を済ませ自転車でみさの家に向かう。 みさはまだ用意してる途中だった。 2人でジュースやお菓子を買い占めてタクの家に向かった。 相変わらずインターホンも鳴らさず入っていく。 人の気配があったので 『お邪魔します』と声だけは一応掛けておいた。 タクの部屋のドアを開ける… 『来たか!』 タクが笑顔で招き入れてくれた。 昨日と変わらずファミコンに夢中になってる奴もいた。 アレ? タカの姿がない… 『今日は来てないのかな…』 と思ったと同時にドアが開いた。 タカだった… ケド正気じゃないみたいだった。 またシンナーを吸っていた。 タカがジーっと私を見つめる。 無言の沈黙…。 『なぁ、ゆう知らん?』 はぁ? 私の事を私に聞いてきた。 タクが 『お前ゆう本人に聞いてどないすんねん(笑)』 と笑い転げる。 再びタカがジーっと見つめる。 『違う…ゆうやない…ゆうはもう帰ったんやろが~!』 はぁ~!? またタクと次はみさまでが笑い転げる。 『お前ちと正気に戻れ!後1時間したらお前バイトやぞ!』 とタクがタカからシンナーを取り上げた。 タカは壁にもたれてテレビのゲーム画面を見ていた… 私は何を話したらいいのか分からずひたすらタカを見つめていた。
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