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タカが働く居酒屋に到着。
自分の気持ちを認めるのが怖かった私はタカを自転車から下ろしてすぐ立ち去ろうと思ってた。
『じゃあ!お仕事頑張ってね。』
自転車のペダルを踏み込もうとすると
『帰り…来てくれんか?11時なんやけど…無理か…?』
思わず振り返ってしまった。
『何で?』
『何でと言われたら分からんけど来れたら来てや!』
ドキドキした…
『分かった…じゃあね!』
それが精一杯の返事だった。
思いっ切り自転車のペダルを踏み込んだ。
後ろを振り返る事も出来なかった。
最初の曲がり角で店の方にチラッと目をやると優しく見送ってくれるタカの姿が見えた。
『何だぁ~何なんだよ~!』
心の中で疑問を叫びまくった。
どうしよう?って考えるポーズを表向き取る自分がいた。
だって私は昨日まで好きだって思ってた人がいたのに…
振られて次の日には早くも気持ちは次にいけちゃうものなの?
これが認めたくない気持ち…
けど気付いちゃったんだよ。
好きな人がいたのにとか関係なく私はタカに恋心を抱きつつある事を…。
気になって気になって仕方なくて認めざる得なくなってる事を…。
私は優しさが欲しかったんだ。
タカの優しさは傷心だった私にはとても心地良かったんだ…。
私はきっともっとタカの事が知りたいんだって…
気付いちゃったんだよ。
だからおのずと答えは決まってた…。
タカに会いたい。
だから仕事が終わる時間に会いに行きたいんだって。
自分の気持ちを素直に受け入れると昨日の自分が嘘のように幸せな気分になれた。
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