父…ごめんね…

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父…ごめんね…

次の日… 夢の中に電話のコールが響く。 意識がはっきりとしてくると同時に電話のコールも大きな音に聞こえてくる。 眠い目をこすりながら階段を降り受話器を取る。 電話を掛けて来たのは父だった。 『おはよう。まだ寝てたんか?もう9時やぞ。』 父の声を聞いて眠気も一気に覚めた。 父とちゃんと話さなきゃいけないのは覚悟はしてたつもりだが、電話越しで姿は見えないのに何故か緊張で姿勢がよくなってしまう。 『うん…今起きた…』 父は昨日兄と話をして私が帰らないという事はある程度聞いていたらしい。 『どうしても帰りたくないんか?』 『やっぱりこっちに住みたいし…』 父はきっと本当は帰って来て欲しかったんだと思う。 だけど自分が再婚したせいで居場所がなかったんだろうと申し訳なさそうに言った。 確かに私は義母の事は好きにはなれなかった。 一緒に暮らした2ヵ月の間ほとんど会話などしていないのも確かだった。 だけど父の事を本当に愛してくれてるのは見てて私にも分かったし、幸せそうな父の姿を見る事が出来たから再婚自体に反対の意思は私にはなかった。 それに今回帰らないのは義母のせいじゃない… 私の単なるわがままなんだから… 言葉にしてそれは伝えられなかったが心の中で 『父ちゃん…ごめんね』 と何度も謝った。 『これからどうするんや?そっちの学校行くか?』   『いいよ。働くよ。』 『学校は行けるうちに行っといた方がええぞ。』 『私のわがままやから自分で出来るだけ生活出来るように頑張るわ。どうしてもダメやったら頼ってしまうかもしれんけど…頑張るから…』 『いつでも電話掛けてきなさい』 父は…一度も怒らなかった。 勝手な事してるのは私なのに… 親不孝な娘で本当ごめんなさい… 私の新たな生活が始まろうとしていた。
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