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「私としては超能力とやらには興味はないんでしてね」
「わかっていますよ」
「私が興味があるのは犯人だけです」
そう言い切ったのは警視庁の須田である。
「犯人には私も興味がありますよ」
答えたのは矢口という。
「しかし、難儀な時代ですなぁ。警察が超能力とやらにすがらんといけないとは」
「なんと答えたらよいやら」
「答えなくて結構」
そこで須田が大袈裟に笑った。
「そうそう、被害者のむなもとにあった犯人の遺留品、本来ならお見せできないんですがね」
須田はそう言うとむなもとから袋を出した。
透明な袋の中身はタロットカードだった。
運命の輪というカードだ。
「犯人は被害者の誕生日がくるたびに被害者宅に同じカードを送りつけていたようなんですが、すでに届いた分は家族が処分してしまってこれ一枚しかありません」
「なるほど」
「何か分かりますかな?調べた限りではどこでも買える代物ですが」
そういわれて、矢口は袋からカードを触った。
伝わってくるのはあざ笑っている男の影と憎しみの強い気持ち。
「どうですかな?」
面白がるように須田は矢口の顔を覗きこんだ。
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