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まあ、それは記憶からの抹消を願うとして、パジャマ姿の自称死に神さん、やよいさんのお話なのだが。
聞くもさながら、やよいさんの話しは思いの外的を射ていて、医者の話しよりもよっぽど現実味のあるものだった。
確かに、僕の身体は以前にも増して疲労が色濃く出るようになった訳だし、何となくだが、胸に痛みが現れる頻度も増しているように思う。
やはり、やよいさん……、自称死に神であらせられるところの彼女の言う余命二週間は、的確なのかもしれない。
病院の自室で寝ている僕は、自傷混じりな笑みを浮かべ、宙に浮くやよいさんに、何気なく目を移す。
「なにさ大河、そんなに見つめて……。あたしに惚れたのかいな」
「それは無いですけど……、やよいさんは、どうしてこんな所に?」
別に、これといった意味があって見ていた訳ではなかったので、返答に困り、味の無い質問で返すことにする。その場鎬もいいところである。
「どうもこうも、最初に言わなかったかい?あたしは大河を幸せにしに来たんだよ」
それに対し、やよいさんの方もケタケタと笑いながら返答する。
死に神と幸せって、結び付くんだな……。僕は眠気で回らない頭を働かせ、そんな事を考えていた。
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