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 それにしても、『幸せにする』とは、どういう事なのだろうか。言葉の意味は分かるのだが、動機が不明のままだ。  仮に、本当にやよいさんが死神であったとしても、僕をわざわざ幸せにする理由が見当たらない。  不幸な少年に一時の幸福を……、みたいなものなのだろうか。もしそうなのなら、勘弁してほしい。惨めすぎる。  しかし、やよいさんは、僕の思考などお構い無しといったように、僕の頭上で、とても綺麗な、妖艶な笑みを浮かべていた。  不気味に綺麗なその笑顔に僕は、一抹の不安を過らせたのは言うまでもない。 「幸せにするって……」 「んん?」 「……幸せにするって言ってましたよね。それって、どういう事ですか?」  眠気で言うことをきかない頭を働かせようと、少しだけ意図を含んだ質問を、やよいさんに投げ掛けてみる事にしてみた。  正直なところ、やよいさんの意図はなんとなくではあるが、見えてきている。よくある死に神のお仕事、というやつなのだろう。  死後、僕の魂がこの世の未練でどうたら……とか、そんなところだろう。まったくもって迷惑な話だ。  そして、やよいさんから予想通りの答えを聞き、「そうですか」と、気の入ってないひと言だけを発し、無気力に僕は目を閉じた。
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