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 いつの間にか眠りについていたのだろう。気づけば日付が変わっていて、朝食を運んできてくれる看護師さんに起こされるような形で、僕は目を覚ました。  やはり、目の前の自称死に神さんは変わらずそこにいて、やはり、その看護師さんには見えていないようだった。  朝食ついでに、検温とバイタルチェックを済ませ、一言二言看護師さんと話を交わしたあと、プラスチックでできた食器をその看護師さんへと手渡す。今日は珍しく、男性の若い看護師さんである。  何の配慮なのかは知らないが(ここでいうところの配慮とは、僕によってでっち上げられたストーリーだ)、ここ最上階には、ご年配の女性看護師しか居なかったため、その光景には少しだけ驚きを感じた。  食器を片付け終えたその背中は、すぐに自室のドアに阻まれ、見えなくなる。心なしかおぼつかないように見えた足取りも、同じくドアに遮断され、見えなくなった。それと同時に、僕も無駄な思考を遮断する。  そんなことよりも、だ。  そんな無駄なことよりも、大事なことに頭を働かせなくてはならないだろう。それはまさしく目先の問題だ。  二週間……。やよいさんいわく約十四日しかないと言われる僕の命も、既に何事もなく一日を消化し、残りは十三日となった。  しかし、当の本人に目を移せば、依然優雅に宙を舞う姿が。僕を幸せにするために、と言ったあの言葉は何だったのだろうかと疑いたくなるほどである。  それほどまでに変わらず、変わり者だったのだ。
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