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……もしかして、皆には見えてない?
僕がそんな思想に至ったのは、およそ当然といえる流れだったろう。
誰ひとりとして――僕を除き誰ひとりとして、彼女を視界に納めていなかったからである。
僕は、そういったものには過剰に反応する。だから、何となくだが、分かってしまう。
……この子は恐らく、誰にも見えていない。その少女は今も僕の目の前にいて……、ああ、浮いてるよ。
幽霊、ってやつなのかな、これ。……でも、透けてるって訳でもないんだよな。
その幽霊(仮)は、僕の部屋を、まるで自分の部屋かのように飛び回り始めた。
正直に言うと、少しだけ羨ましい。
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