そんなこんなで始まりました

7/7
前へ
/15ページ
次へ
 部屋を自由に飛び回るその姿はとても魅力的で、美しくすらあった。  最低でも、幽霊もどきではあろう彼女は、僕を見ながら優雅に舞う。  しかし、自由と描写したのだが、そう言えば聞こえはいいのかもしれないが、しかし、それとは違う気がする。何かもっと大切な何かが、そこにはあった気がした。  彼女を見ていると、何となくだがそう感じてしまう。不思議な気分になる。そんな魅力が彼女にはあるように思えた。  見た目、僕よりも年下であろう彼女は、僕を見下ろして笑っている。  ……明らかに僕を見て笑っていた。それはもう、幸せそうな顔で。  なんだろう。彼女を見ていると、少しだけ切なくなった。僕には持ってないものを、彼女は持っている気がする。  何故だか僕は、彼女が、彼女のそんな姿が羨ましく思えた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加