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『それならば、主を元治元年の京に送ってやる』
声の主は、上から目線で言うが、私は意味不明だ。
まず、元治元年が西暦で、何年なのかが分からない。
しかも送ってやるっていうのは、タイムスリップすると言う事なのだろうか?
そんな事、物理的に有り得ない。
やはり、その考えは、声の主には、お見通しで。
『元治元年は、西暦で1864年。
タイムスリップは、特別に一度だけ出来るようにしてもらった』
淡々という、声の主に、私は血の気が引いていった。
一度だけ?
となると、戻って来れないという事か。
そんなの、断るに……
『もう、決めた事だ!断る事は許さない』
目眩がして、今にも倒れそうになる。
なんとか、長椅子まで辿り着き腰を下ろした。
その後、声の主、芹沢鴨と色々と話した。
芹沢鴨は、新撰組のために……
命をかけて、暴虐な行為をし、粛清されたと。
そうする事が、あの時あの浪士組には必要だったと。
しかし、そこまでした新撰組は、悲しい道を辿ったと。
沖田総司が……労咳にならなければ。
藤堂平助が……山崎烝が……あそこで死んでなければ。
と、後悔して成仏も出来ないようだ。
そこで医学に明るく、自分の生きてる時代に、執着してない私に、白羽の矢がたったみたいだ。
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