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そうして俺が学園生活最初(にして最後かもしれない)知り合いのエリオットと握手を交わしていると、担任の先生が入ってきた。
やはりさきほどの入学式で名前を読み上げていた男性だ。歳は20代後半くらい。紫の髪を綺麗に整え、しわ一つない講師の制服を着こなしている。端的に言えばーー非の打ちどころがない。彼は教壇に上がると張りのある声で言った。
「やあ、初めまして。ようこそシュベルンベルツ魔法学園へ!僕はボリス・レターソン。この1組を担当します。みんなよろしくね」
にこりと笑う。これは女子生徒から人気が出るんじゃないか?
「ではまずは自己紹介をしよう!」
おお、神よ……なぜあなたは私に試練をお与えになるのですか。
俺が顔面を蒼白にしているのに気づいたのかエリオットが心配そうに見てくる。気のよさそうなやつで本当に良かったが……。
たくさんの人の前で注目されるということが頭の中でぐるぐるとパニックを起こしかける。
幼いころの記憶がよみがえる……。
『魔力なしのイリア!落ちこぼれのイリア!』
子供たちが輪を作って回っている……中央にいるのは俺だ……。
『落ちこぼれのイリア!』
「イリア!イリア・ラスト!」
はっとして顔を上げる。
もう俺の番まで来ていた?
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