episode:2 入学

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いよいよ入学日が来た!! 俺は暗澹たる気持ちで周囲を見渡した。 全生徒の中で俺ほど陰鬱な顔をしたやつはいないだろう。 学園への通学路である。これからは寮生活なので家族と別れの挨拶をしているものが多い。 また、中等部からのエスカレーターの生徒も長期休暇明けで戻ってくる者もいるのだろう。 みな、新たな環境への歓喜で満ち溢れていた。 特に俺がこれからお世話にある高等部とやらは、魔術の実践的な授業が多く、ここを卒業した暁には、政府の高官や魔術師としての独立など将来が約束されるらしかった。 兄だろうか、青い髪の少女が青年と別れを告げるそばを通り過ぎると、いよいよ学園が見えてくる。かつては要塞として機能していた王都シュベルンベルツ魔法学園は、その威容をあらわに、温かくその門徒を迎えていた。 クラスとかどうなるの?自己紹介とか考えるだけで無理ィ……。 門をくぐると、きらきらとした何かが頭上から降ってきた。魔法の紙吹雪だ。そして自動的に胸元にロゼットがつけられる。中央に『高等部新入生』の文字。ふちを彩るリボンの色はピンク。ちょっと恥ずかしいんだけど? 誘導に沿って、俺は体育館とやらに向かった……。
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