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決められた列に並びしばらくすると、司会進行らしき男が入学式の始まりを告げる。
まずは国家斉唱だ。これは得意だ。ギルドでもやるからな。
それから各担任から新入生の氏名が読み上げられる。全部で5クラス。一クラス20人くらいだから全部で100人くらいか。かなり少ない数だ。
それから校長による祝辞。校長は相当の魔法の使い手なのだろう。見た目は40代ぐらいに見えるが、実際はその倍以上生きているように俺には見えた。というかおそらく魔法の延命長寿を専門としている学者だったに違いない。昔、会っているはずだ。
次に新入生代表による宣誓。
俺はこれを見て吃驚した。壇上したのは見事な赤毛の少女だ。長い髪をひとくくりにしている。きれいなハシバミ色の目。新学年の席が、わずかにざわめく。「やっぱりアンナ・ガーネットか……」「魔女には適わないよ」「生徒会長だったしな」
赤は魔法の色だ。特に赤毛は魔法のルーツである魔女と縁が深い。生まれ持っての能力と才能があるのだろう。しかも品行方正のようだ。少女は堂々と宣誓すると、よどみなく列に戻っていった。
最後に校歌斉唱だ。俺は知らないので在校生に合わせて適当に歌う。愉快なリズムだった。
そしてロゼットの色ごとにクラスが違うとのことで、俺は1組の教室へ向かうのだった。その時の気持ち?まさに処刑台に上るような気分だった。つまり最悪ってこと。
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