episode:1 ひきこもり少年

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心地よい昼下がり、気温は過ごしやすい温度を保ち、人々をなんとなく浮き立たせる。 ギルド司令室に窓はない。 防犯上のためだろうか、おかげで陰気くさい雰囲気である。調度品もアンティークのものばかりなので、格調高くとっつきづらい――それが本来の目的なのであろうが。 「いま、なんとおっしゃいました?」 そんな部屋に素頓狂な声が響いた。声を発したマヌケは俺。相手はギルドマスター。 本国のギルドマスターは年若い美女である。豊かなブロンドに、美の女神のような顔立ち、そしていつもの赤いスーツに身を包んでいる。 ついスカートから伸びる脚に目が行きがちになるが、緑がかった青の瞳がそれを許さない。 隣国の名門シューベリー大学を出た才と、カリスマ性。圧倒的な支持を得て、組織の上に立つ人物だ。 阿呆な俺に構わず、ギルドマスターは先程と同じトーンで再び告げた。
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