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わたし、星影初音(ホシカゲハツネ)は都内の製薬会社で働いている。
彼氏はいない。募集中。
なのに、わたしには婚約者がいることが判明したのだ。しかも昨日。
「元彼が婚約者?!」
「元彼っていってもさぁ、高校生の時に2週間付き合っただけなんだよ?あぁ…本当悲しい」
「2週間って…なんで?なんで別れたの?」
同期で入社した愛梨は興味津々という感じで聞いてくる。わたしはため息をもらした。
ちょうど仕事中で、わたしはデスクに置かれたパソコンのキーを叩いてまたため息。
ため息をつくと幸せが逃げるってよく言いますけどね、本当に。
「あのね…フラれたのよ、わたし」
「ええ」
「“好きじゃないんだよね”って言われてさぁ」
「痛すぎて初音の顔見れない」
「うっさいよ」わざとらしく額に手をあてる愛梨を一瞥した。
あの時は…あの頃は…。
わたしとアイツは確かに付き合っていたんだ。
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