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蒼「……咲くん、あれ今日だったよな?」
咲「うん。
夜には<林>の国の代表と会ってくる」
蒼「…一時きゅーせんきょーてい、ね…」
咲「もっと賢く話そうね、蒼くん。
一時休戦協定……ま、向こうから持ちかけてきた話だし、今の<林>相手なら俺たちの方が断然上だ。
何事もなく進めると思うよ」
天野と朝倉は、こう見えて共に最大ランクの特Aランクの称号を有し、更には<双属性>……今や<山>は<風>と並んで強大国となり、戦争をふっかけてくる国は居なくなっていた。
蒼「とりあえず気をつけてくれよ…」
咲「分かってる。
蒼くんこそ、俺がいない間、国のこと頼んだよ?」
蒼「おう、任せとけっ」
明るくそう言った天野だったが、その後わずかに表情が暗くなったのを朝倉は見逃さなかった。
咲「……どうかした?」
蒼「いや…この調子で他の国ともきょーてい結んで、いつか戦争がなくなればいーのにな……ってさ」
天野の小さな呟きに、朝倉はにっこり笑った。
咲「俺はそのつもりだよ?
リーダーの望みは、副リーダーの俺の望みでもあるんだから」
蒼「咲くん、」
咲「近いうちに絶対、戦争をなくす。
できるよ、蒼くん……やろう?」
天野は柔らかく笑った。
自分を支えてくれる朝倉の存在と、心強い彼の言葉に感謝して。
蒼「そうだね、咲くん。
がんばろーな…!」
この時、2人は知る由もなかった。
避けられない、運命の歯車は
既に廻りだしていた事を……
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