崩された日常 ~<山>side~

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 それからしばらくして、俺は言われた林に到着した。 蒼「……出てこい」  気配を消しているようだけど……完璧じゃない。  数人の気配がする。 『ふん……流石だな、リーダーさんよ』  1人の男が、木の陰からスッと現れた。  全身を真っ黒い服装に包んでいて、顔には両頬に斬り傷がある。  その男の後ろから、3人の男が続いて現れた。 蒼「お前ら……何者だよ」 『はは、そんなの…どうだっていいだろ?』  傷のある男が、ニヤァと笑った。  寒気がするような、嫌な笑い方。 蒼「じゃあ……何が目的だよ?  子どもたちは、どこにいる?」  ずっとニヤニヤしてる連中に、怒りを必死で抑えながら聞いた。 『ガキ共なら無事だ……ほらよ』  男が後ろに視線を送ると、後方からもう1人の男が木の陰から現れた。 蒼「っ……風の結界か…」  その男の両手からは薄緑の弱い光が出ていて、その光が球形の…結界を造り出していた。  何重にも張られた結界の中で、5人の子どもたちが震えていた。  子どもたちは俺を見て、泣きながら口を開いたけど……結界に遮られて声は聞こえない。 蒼「何してんだよ……!  あの子たちを返せ!  俺を誘き出したかったんだろ?!」 『ああ、そうさ。俺たちが用があるのはあんただ』 蒼「だったら…!!」 『だが、ガキは返さねぇ。 ……こいつらは、人質だからな……』  一瞬、男の言ってる意味が分からなくて呆然とした。  そんな俺に構わず、そいつは続けた。 『俺たちの狙いは、あんたの命だ……だが、あんたの強さは分かってる。 まともに戦って勝てるわけがないからな』  嫌な予感は当たってしまった…。 、
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