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『あんたには死んでもらう。
少しでも抵抗したら……ガキを殺す』
蒼「………」
ただ殺されるなんてまっぴらだ。
そう思って、俺はスッと連中にバレないように右手の人差し指だけを、後方で結界を張って子どもたちを捕らえている男に向けた。
この距離なら、雷の<力>であの男を動けなくするのは簡単だ。
術者を倒せば、結界は消滅するはず……。
そう考えて、俺は一瞬で指先から雷を放った。
……………けど。
『くっくっ…無駄だよ、俺自身にも結界は張っている。ガキの結界は特別に重ねてるから色が見えるだけだ…』
ニヤリと笑った連中に、俺はゆっくり息を吐いて目を閉じた。
脳裏に昼間の子どもたちの笑顔を浮かべる。
あの笑顔を、失う訳にはいかない…。
『ふん……ようやく諦めたか』
『やはり甘いな……自分の命より、ガキ共の命を選ぶか』
ザッと足音がして、男たちが<力>を集中させ始めたのが感じられた。
それでも俺は………動かなかった。
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