499人が本棚に入れています
本棚に追加
/195ページ
全てがゆっくりに見えた。
俺は動かない身体に鞭打って、無理やり雷の<力>を放出した。
でも、
間に合わなかった。
俺の放った電流が当たって、周囲にいた男たちが少しだけ吹き飛んだ。
その拍子に………血を流したあの子が、俺の目の前に解放された。
ぐったりした身体からは、血が。
俺は最後の力を振り絞って腕を伸ばし、子どもを抱き寄せた。
蒼「……おいっ…返事、しろよっ…」
子どもの傷を押さえるけど、血が…止まらない。
蒼「っ……ごめ、な…っ!
…守って、やれなかっ……」
感情を抑えきれなくて、涙が頬を伝った。
「……リー…ダ…?」
蒼「っ!?だ…大丈、夫か…?!」
「…リーダ……リーダぁ……」
蒼「…ばか…しゃべるなっ…!」
その時その子が……うっすらと目を開けて、
にっこり、笑った。
昼間に見た、無邪気な笑顔で。
「リぃだ………ごめ、なさい…」
蒼「……何、が……!」
「ぼく……たちの、せぇ…で、いっぱい……ケガ……」
蒼「馬鹿っ!……何、言ってんだ!」
俺はぎゅうっと、小さな身体を抱きしめた。
小さな小さな身体……失われていく体温を感じながら。
蒼「ごめん……ごめんなっ……!
守って、やれなくてっ……」
「なん…でぇ…?
りぃだ…まも、て…くれた…よ?」
蒼「……ッ…!!」
「りぃ……だ…
…あり……が……と……」
蒼「 」
声にならなかった。
笑顔を浮かべたまま、動かなくなった身体を抱きしめて……涙が溢れ出た。
、
最初のコメントを投稿しよう!