崩された日常 ~<山>side~

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 全てがゆっくりに見えた。  俺は動かない身体に鞭打って、無理やり雷の<力>を放出した。  でも、  間に合わなかった。  俺の放った電流が当たって、周囲にいた男たちが少しだけ吹き飛んだ。  その拍子に………血を流したあの子が、俺の目の前に解放された。  ぐったりした身体からは、血が。  俺は最後の力を振り絞って腕を伸ばし、子どもを抱き寄せた。 蒼「……おいっ…返事、しろよっ…」  子どもの傷を押さえるけど、血が…止まらない。 蒼「っ……ごめ、な…っ!  …守って、やれなかっ……」  感情を抑えきれなくて、涙が頬を伝った。 「……リー…ダ…?」 蒼「っ!?だ…大丈、夫か…?!」 「…リーダ……リーダぁ……」 蒼「…ばか…しゃべるなっ…!」  その時その子が……うっすらと目を開けて、  にっこり、笑った。  昼間に見た、無邪気な笑顔で。 「リぃだ………ごめ、なさい…」 蒼「……何、が……!」 「ぼく……たちの、せぇ…で、いっぱい……ケガ……」 蒼「馬鹿っ!……何、言ってんだ!」  俺はぎゅうっと、小さな身体を抱きしめた。  小さな小さな身体……失われていく体温を感じながら。 蒼「ごめん……ごめんなっ……!  守って、やれなくてっ……」 「なん…でぇ…?  りぃだ…まも、て…くれた…よ?」 蒼「……ッ…!!」 「りぃ……だ…  …あり……が……と……」 蒼「          」  声にならなかった。  笑顔を浮かべたまま、動かなくなった身体を抱きしめて……涙が溢れ出た。 、
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