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咲「答えろ。お前たちは何者だ」
今やっと、咲くんの目が見える。
俺の予想通り、いつもとは全く違う……冷たく鋭い目をしていた。
今の咲くんは……怒りでいっぱいだ。
『ははっ……<風>から来たのさァ!
リーダー命令でな!!!』
咲「っ!……そうか。
……分かった。もういい」
咲くんはそう言うと、同じように男を火の<力>で消した。
これは、一番残酷な殺し方。
骨も残さず、全てを焼き尽くす……咲くんの<力>でしか出来ない技…。
馬鹿だな……咲くん。
その殺し方をして……咲くんが自分を責めなかった時はないのにさ…。
咲「蒼くん!大丈夫!!?」
咲くんが駆け寄ってきた。
その時の目は、何時もの咲くんで……ホッとした途端に、力強く抱きしめられた。
正直、限界が来てたけど……あまりにも力強いその温もりに、少しだけ笑ってあげた。
咲「喋んなよ!すぐに<癒やしの一族>と応援が来るから!」
その言葉に、身体がビクッとしたのが分かった。
《助けて下さい!!!!》
先生の言葉が、はっきり浮かぶ。
蒼「咲くん………ごめ……俺っ…」
咲「……いいよ。
何も言わなくていいから……」
咲くんは俺が何を言おうとしているか、分かってくれてるみたいだった。
蒼「……でもっ、俺……!
守れなか……た……!!!
まも、って……やれな、か…った…!!!」
すると、咲くんは俺を抱きしめていた力を緩め、ゆっくり…俺の腕の中にいた子どもの身体を、抱き上げた。
咲「蒼くん……見て?
この子は、笑ってる……
…笑って逝ったんだ。
この笑顔を守ったのは、貴方だよ 」
ぶわっと、必死に抑えていた涙が
再び……溢れ出した。
そこで俺の意識は、急速に遠のいていった。
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