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咲「…信じられる?
まだあんなに小さいのに……暴走して、あんな風に殺した俺にっ……ありがとうって言ったんだ…」
蒼「……咲、くん?」
咲「俺……怖いんだよ…。
いつか俺は…平気で人を殺すようになっちゃうのかな……?
それが当たり前になっちまうのか…?
子どもたちも、それを当たり前と思ってしまうのかな?」
俺は言葉が見つからなかった。
咲くんがこんな風なことを言うのは、初めてだったし……その言葉は俺にも衝撃だったから。
咲「もう…国中に今回のことが広まってる」
蒼「え?!」
咲「子どもたちが、連中が<風>から来たっていうのを聞いてて……それが大人達に伝わったみたい。
もう、国中が……怒りに満ちてる。
<風>に対しての、ね」
ああ、やっと分かった。
咲くんがあんな事を言う理由。
咲「もう……止められなかったッ…!!
<風>との戦争を、って……国中の至る所で大勢の人が動いている。それこそ今にも暴れだす勢いで。
"こんな卑劣な事をする国を許してはおけない"って、軍のヤツらもみんな、すっかり興奮してる」
蒼「……戦争が…、
始まっちまうのか」
だから咲くんは怖くなったんだね。
沢山の人を殺して……いつか自分がおかしくなっちまうんじゃないかって。
それが当たり前になってしまう事が。
当たり前として受け入れられる事が、怖いんだね。
俺はまだ上手く動かない身体を、上体だけ起こして、咲くんをぎゅっと抱きしめた。
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