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咲「っ蒼くん…?」
蒼「咲くん……おれも怖いよ。
たくさんの命を奪う事も、奪われる事も、受けいれられちゃう事も、もちろん拒絶される事も怖い……戦争が、怖い。
でも、もう避けられねーんだ」
咲「ってる………分かってるよ…。
戦争になったら…沢山の仲間の命が奪われる……奪われる前に、奪わないといけないって…」
蒼「咲くん、落ち着いて?
あの時……気ぃ失う前にさ、咲くん、俺に言ってくれたじゃん」
あの言葉は忘れられない。
咲くんがああ言ってくれたから、俺はあの子の…カイの"ありがとう"を受け入れられた。
《この子は、笑ってる……
笑って逝ったんだ。
この笑顔を守ったのは、貴方だよ 》
蒼「確かに、戦争では…たくさんの人を傷つけなきゃいけなくなる……。
でもさ、相手を殺すために戦争するんじゃないでしょ?
大切な人たちとその笑顔を、守りたいから戦うんでしょ?」
咲「っ…!!」
蒼「俺は戦うよ、咲くん。
<風>が俺たちを狙ってくるっていうなら……街のみんなや、仲間や、咲くんを守りたいから。
<山>を守る為に、俺は戦うよ」
言葉にして伝えるのが苦手な俺だけど、精一杯の気持ちを伝えた。
すると咲くんは、暫く黙ってそのままでいて……いきなりバッと俺の腕から離れた。
咲「ありがとう、蒼くん。
俺……いろいろ考え過ぎてたみたい」
咲くんはちょっとだけ浮かべた涙をゴシゴシ拭って、笑ってみせた。
まだ無理してる笑いだったけど。
咲「もうちょっと、待ってて。
俺も……しっかり腹くくるから」
蒼「むり、しなくていーからな、」
咲「ん、分かってる。
そうだ、蒼くん……今更だけど、無事で良かった…!ゆっくり休んでね?」
蒼「ふふ、うん…ありがと」
咲「あと、もう1つ」
咲くんは優しく微笑みながら立ち上がった。
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