苦悩と決断

8/8

499人が本棚に入れています
本棚に追加
/195ページ
{{朝倉視点}}  あの時、駆けつけた俺の目に飛び込んできたのは、血まみれで倒れる蒼くんと、その腕の中の動かない子ども、結界に閉じ込められてる子どもたち。  一瞬で、何があったのか理解できた。  頭が真っ白になって、全員…あんなやり方で殺して。  殺しておいて、少しだけ後悔していた所に"ありがとう"の言葉。  蒼くんの治療が済んで、ほっとしている間にも、国中に情報が広まって。  各地で戦争を叫ぶ運動が起きて、興奮した国民を落ち着かせて周るうちに、気づいたら仲間も戦争を叫びだして。  もう止められない事を痛感した。  <林>とは協定を結んだ。  これを足掛かりに、<火>や<風>とも協定を結ぶはずだった。 咲「……守りたいから……か」  蒼くんが戦うと決めた時点で、俺の選ぶ道は決まっている。  命を懸けて、彼についていくと決めたから。 咲「俺……弱いなぁ…ほんと」  争いを何より嫌う蒼くんが、戦うとはっきり言った。  それは彼の強さ。  俺も、決めなきゃ。  頭の中で、たくさんの人を思い浮かべる。  俺たちを信じてくれる国民、ついてきてくれる仲間、そして…リーダー。 咲「………戦うよ、蒼くん…」  俺はゆっくり目を閉じ、誓った。  守ってみせる。  命に替えても……必ず。 ――――――――――――  こうして、<山>は戦争を決めた。  世界を巻き込んだ歯車から生じた事件。  この時、ほぼ同時期に、<風>でも……悲しい事件が起こっていた事など。  <山>には知る由もなかった。 、
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

499人が本棚に入れています
本棚に追加