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あの後夕方になって、サノが若干疲れたように肩を回しながら部屋に入ってきた。
蓮「お疲れ、どうだった?」
悠「<火>もちょうどこっちに接触したがってたみたい……上手く運べそう」
蓮「そっか……サンキューな。
協定を結ぶ方針で頼むよ」
悠「分かってますよ……夏目さんは?」
いつも毒舌はいてばっかだけど、サノと夏目ちゃんは俺と出会うよりもずっと昔からの仲だ。
夏目ちゃんがいないのを一番気にするのは、実はいつもサノだったりする。
蓮「まだ帰ってきてない。
今日は国境近くの……あの小さい村に行くって言ってたから、遅くなるハズだぜ?」
悠「あぁ……あの村ね。
確か、住人が9人だったよね?」
蓮「ん~……そんぐらい。
何度か、もう少し生活しやすい場所とか、街に大移動の提案は出したんだけどな」
悠「余りにも人里離れてるしね。
でもまぁ、生まれ育った場所が一番いいってことなんじゃないですか?」
蓮「……そーだな」
"生まれ育った場所が一番"……か。
俺は、育った場所を捨ててきたからな……分からねぇや。
悠「……蓮くん?どうかした?」
蓮「…いや、何でもない」
悠「そ?
にしても、もう暗くなってんのに、あの馬鹿…山道で迷ったりしたらどうすんだっての…」
言葉とは裏腹に心配そうな表情で、サノが窓からその村の方向を見た。
ちなみにこの部屋は、一応リーダーの部屋として最上階にあって、けっこう遠くまで見渡せる。
悠「……っ蓮くん!!!」
サノが滅多に出さない、慌てた声。
嫌な予感が、した。
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