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『ほー、生きてんのか。
あんたやるねぇ……風の<力>か…』
徐々に周りが見えてくると、俺と燃える村との間に、1つの人影…。
真っ黒い服装の、ニヤニヤ気持ち悪く笑う男が立っていた。
晴「お前……誰だ!!!?」
『ふん……言う筋合いはねぇな』
晴「っ……村に、何をした?!」
『見て分かんねぇのか…?
燃やしたんだよ、全部全部。
畑の穴は俺の雷だけどな』
淡々という男に、言葉が無くなった。
気づけば、俺の両サイドにも2人の男が立っていた。
全部、燃やした……?
爺ちゃん……婆ちゃんも?
勇太たちの、父ちゃんと母ちゃんも?
晴「…んで…何でだよッ…!!
お前ら……何してんだよ!!!!」
怒りを通り越して、涙が溢れそうだった。
勇太と光太をぎゅっと抱きしめて、怒鳴って正面の男を睨み上げた。
『だから、教えるわけ…』
――――ドォォォオン!!!!!!
いきなり……男の言葉を遮るように、さっきとは比べものにならないくらい大きな轟音が響いた。
ピシャっという閃光に思わず目をつぶって、ゆっくり目を開けると……。
俺の両サイドにいた男たちが倒れていて、その代わりに……。
晴「……サノっ…!」
悠「夏目さん!!
無事ですね?!」
晴「サノっ……村のみんながッ…!!
みんながあの中にッ……!」
悠「…っ、…?!」
俺は必死でサノに叫んだけど。
サノは、辛そうに顔を歪めて…燃える村を見つめるだけだった。
晴「ねぇ、サノっ!!
どうしようッ……どうしたら」
悠「夏目さん!!!!!」
サノの大声に、身体がビクリと震えた。
悠「もう………手遅れですッ…」
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