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悠「夏目さん……もう分かってるよね。
あんた、こういうのは鋭いから」
何も言わないけど、構わず続ける。
伊達にあんたと幼馴染みやってないから。
悠「もう……避けられない。
<山>は<風>を狙ってる…
…………戦争が、始まる」
小さく、抱いた肩が震えた。
悠「沢山……沢山、犠牲が出る。
この村の人も皆、戦争の犠牲者だ…」
夏目さんが抱きしめる小さな身体に目をやる。
まだ小さいのに……どれだけ怖い思いをさせてしまったのかな。
多分あんたも、そこまで気にしてる。
悠「あんたは優しいから。
多分、すごく辛くなると思う…。
でもさ……我慢だけはすんなよ…。
あんたは、泣いていい。
あんただけは、ちゃんと泣いてやれ」
ここで泣いてやらなきゃ、
俺の知ってる夏目さんじゃないよ。
悠「…自分を、壊すなよ…」
晴「っ……サ、ノっ…!」
悠「大丈夫、大丈夫だから。
…自分を責めなくていい」
晴「…ッ…!…ぅっ…グスッ…!」
悠「その子たちだけでも、助かって良かった。守ってあげたんでしょう?」
嗚咽を漏らしだした夏目さんの頭をクシャリと撫でて、抱きつくように首に腕を回した。
悠「この子たちを守ってやることが、村の皆が望むことだよ……。
あと、夏目さんがしてやれることはもう1つあるんじゃない?」
晴「っ、う"ん……グスッ……
……ありッ…がと、…サノぉっ…!」
そう言って夏目さんは、思いっきり涙を流した。
それでいいよ。
優しいあんたが、自分を見失わないように。
あんただけは、泣いてて下さいね。
俺は、泣き続ける夏目さんの頭を、ずっと撫でてやるだけだった。
視線だけで、蓮くんに言葉を送る。
夏目さんは大丈夫。
俺に任せてよ。
伝わったか分からないけど、蓮くんは頷いて歩き出していった。
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