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あの事件の翌日。
<風>の本拠地の朝に、いつもの"名物"は見られず……3人はリーダーの部屋に集まっていた。
蓮「夏目ちゃん、目ぇ冷やしな。
……ほら」
タオルを手に取り、氷の<力>を少しだけ解放して、秋月はタオルを冷やし夏目に手渡した。
晴「うわー、ありがとう!」
悠「あんだけ泣いたら、当然腫れるって分かってるでしょ……何で冷やさないんだよっ!」
佐々野が軽く夏目の頭をはたくと、秋月の表情も僅かに緩んだ。
3人とも、変わらない自分たちの空気に安堵していた。
それは秋月の深い温かさがあるから。
佐々野の洞察力と優しさがあるから。
夏目の笑顔があるから。
3人の空気感とバランスが、<風>を成り立たせている。
言葉に出さなくても、3人は皆、この空間の大切さ、重要さを理解していた。
悠「俺たちは……変わらないでいよう。
…何があっても、さ… 」
佐々野の言葉に、夏目は大きく頷いた。
先日、佐々野が夏目に本当に伝えたかった言葉はこれだった。
変わらないで、そのままで……と。
蓮「当たり前だろ、馬鹿」
秋月は俯いていた佐々野の頭に手を置き、クシャリとしながら優しく言った。
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