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{{秋月視点}}
俺たちが<山>に文書を送ってから2日後。
サノが早足で、書類仕事に追われていた俺の部屋に入ってきた。
悠「届きましたよ、返答」
蓮「やっと来たか……何て?」
その問いに、俺の参謀はニヤリと笑った。
悠「受けるってさ。
……向こうのリーダーか副リーダーかは分からないけど、けっこう厄介な奴かもしれないね」
蓮「……何で?」
悠「返答に続きがあった。
【<林>は<山>との協定の地であり、このままではこちらに有利すぎる。
故に2つ、情報を明かす。
我々は<林>から戦力を借りない。
そして、決戦の日…我々は、リーダー及び副リーダー共に決戦の地へ向かう】
……だってさ」
蓮「…確かに…やり手がいるな…」
俺たちは、国を空けて<山>とすれ違いになることを恐れた。
戦力の分散も避けたいし。
だから<山>に文書を送って、日時や場所を指定しないかと提案した。
とはいっても、そんな提案に敵が簡単にのってくる訳がない……だから<山>にとって有利な場所を指定した。
正確なところは分からないが、今の<山>の返答を見た感じ……俺たちの意図を読み取った上での決断に思われた。
蓮「総力で来るってことか……」
悠「お、疑わないんですか?」
蓮「サノも疑ってはないんだろ?」
俺の当然のような口調に、サノは余裕な笑みを浮かべた。
悠「もちろん。恐らく向こうは、俺たちが戦力の分散やすれ違いを避けたいのを見抜いた。
こっち側の心理を見抜いてないと、こんな提案、罠としか思わないだろーし」
蓮「……もしかしたら、総力戦とか言っておいてどっちか1人が<火>から回ってくるかも知れねぇじゃん?」
悠「夏目さんみたいな事言わないで下さいよ。
俺を誰だと思ってんの?
それをさせない為も考えて、<林>に指定したんだから」
蓮「分かってるよ、悪かった」
分かればいーの、と笑ったサノに俺も笑顔になった。
あー……最近ひたすら書類の相手してるから、久々に笑ったかも。
蓮「夏目ちゃんは?」
悠「<力>使いすぎて倒れてます」
蓮「…………は?」
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