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~<風>side~
こちらも朝日が昇る頃。
3人はいつもの部屋に集まって、黙って窓口に立って徐々に朝日で照らされてゆく国を眺めていた。
こちらは口数が少ないというより…
……ひたすら、無言。
いつも騒がしい夏目は、無表情のままずっと無言で外を眺めていて。
いつにないその様子に、若干そわそわと夏目の様子を窺い続ける佐々野。
そんな2人の様子を、冷静を装いながらもちらちら気にする秋月。
悠「…………あぁ~もうっ!
どうしたんだよ夏目さん!」
蓮「夏目ちゃん、そんな緊張すんなよ。
もう少ししたら出立だぜ?」
しびれを切らした2人が夏目に声をかける……が、なんと。
晴「、サノ……秋蓮ッ……」
蓮悠「「……?!」」
今まで俯いていた夏目が顔を上げると、秋月と佐々野は驚いて言葉を失った。
決戦の日、十分に気持ちを高めて行く場面だというのに……夏目の目には涙が溜まっていた。
だが、2人は驚きはしたものの、
怒るでも茶化すでもなく、すぐに真剣な表情になった。
悠「夏目さん……」
佐々野と秋月は分かっていたから。
夏目がどれだけ争いを嫌うか。
自分たちと違って、夏目が非情になれないのはよく分かっていたから。
蓮「大丈夫だよ、夏目ちゃん……戦うのは全部俺らがやる。
夏目ちゃんは、俺らのサポートに専念しててよ」
悠「前も話したけど、戦争で人が死ぬのは……当然の結果なんです。だから…」
晴「だからだよッ!!」
急に、今まで涙をこらえていた夏目がバッと顔をあげた。
涙がぽろぽろ伝う。
秋月と佐々野は、滅多にない夏目の少し怒った様子に、ひどく驚いていた。
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