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{{佐々野視点}}
蓮「……っ咲…?」
霧が晴れるやいなや、顔色を変えた蓮くん。
長い付き合いだけど……こんなに動揺した蓮くんを見るのは、初めてかもしれない。
悠「……蓮くん?
どうしたんですか?」
蓮「…っ……いや…、…別に」
どこがだよ。
動揺しきって揺れる瞳、キツく握られた拳が、それが強がりだと証明している。
蓮くんの視線を追うと……俺たちに近いくらいの若い男が2人。
1人が目を大きく見開いたまま呆然としていて、もう1人がそいつの肩を掴んで声をかけている。
悠「蓮くん、知り合い?」
蓮「…………あ…、ああ……いや…」
ダメだ……会話にならない。
でも、恐らく知り合いなのだろう。
咲、って呟いてたよな……名前で呼び合うような仲だった…?
親しい友人か、もしくは……。
悠「っ!危ない!!」
思考している間に、周囲でまた戦闘が始まって……余波が襲ってきた。
俺は、全く避ける素振りも見せない蓮くんを引きずるように跳躍した。
悠「しっかりして下さい!!!
あんたリーダーだろ!!!!」
このままじゃマズいのを感じて、思いっきり怒鳴ると、やっと蓮くんが普段らしくなってきた。
蓮「……わりぃ、…俺…」
悠「よく分からないけど、今は戦闘中なんですよ……しっかりして下さい」
言い聞かせるようにゆっくり言うと、蓮くんは右手を額にやり、髪をかきあげるようにしながら小さく頷いた。
その時だった。
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