ただ1つの選択肢

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 ササノ……ユウヤ 蒼「…ゆう…、悠っ……」  《にぃー、にぃーっ!》  《ふふ、どうした?》  《にぃっ、いっしょー!》  《わかった、   いっしょにあそぼーな》  名字が変わってはいるけど。  間違いない…と思う。  幼かった自分、それでも鮮明に残っている、大切な大切な小さな弟の記憶。  あの時、遠目だったけど……彼の顔を見た瞬間、過ぎったのは間違いなく弟の悠也だった。  勘違いなんかじゃ、なかった。  最後に会ったのは何年も前のこと。  それでも、忘れるはずがない。  ずっとずっと、気にかけてきたんだから。 蒼「…まじかよ…」  それだけ呟いて、溢れそうになる感情をぐっと抑えこむ。  あの様子じゃ、悠は何も覚えてない…。  俺は、大丈夫……大丈夫だ…。  自分に言い聞かせながら、抑えこんだ感情に、完全に蓋をした。  今は、俺なんかより…  ……心配な人がいる。  俺は大きく深呼吸して、いつも支えてくれる彼のいるだろう場所へと歩き出した。 、
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