<山>の日常

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 南に位置する<山>の国。  ある晴れたのどかな日、人気のない大きな池のほとりで、大きく伸びをしながら欠伸をする人影が1つ。 「ふあ~ぁ、……っと」  茶色がかった短髪の、どこかぼんやりとした印象の少し小柄な青年……。  彼は<山>の国始まって以来の逸材と言われるリーダー、天野蒼志、25歳。 蒼「釣れねぇなぁ……」  釣りが趣味である天野は、少しでも時間があればこうして本拠地(ホーム)に近い池を転々としていた。  そんな彼の、およそリーダーらしくない行動は、いつもある人物に咎められてはいるのだけど。 ――――ガサガサッ  突然、高く伸びた草の原が揺れた。  だが、天野は驚く素振りも見せず、ふいっと後ろを振り返った。  それと同時に、ガサッと草木の中から物音の原因である人物がひょっこり顔を出す。 「あ~もう、やっぱりここにいた!」  少しだけ怒ったような声で、苦笑しながら姿を現したのは、短い黒髪に大きな目をした青年。  <山>副リーダー、朝倉咲、24歳。 蒼「よう、咲くん」 咲「よう、じゃないよ蒼くん!  貴方何してんの!  休みなさいって言ったでしょ?」  少し母親くさい物言いの彼は、考えるのが苦手な天野の代わりに<山>の国をまとめる存在。  声は少し怒っているように聞こえるが、目は絶えず優しい色を浮かべている。 .
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