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私は家族と共に暮らしながら見えない世界を必死に生きてきた。
どんなに辛くても死を選んだりしなかったし
家族や友達の支えもあって,他の人となにも変わらないぐらいの人生を歩めた。
見えない苦しさは,どんなに辛い事かも知ってる。
そんな事よりもこんな私でも幸せになれる事を信じて……いや信じ続ける事で自分を保ち続けていた。
母親「誕生日おめでとう!!蒼!」
今日は私が生まれて20歳の誕生日。
父親「おめでとう!!」
ロウソクの火さえ見えない。
それでも家族がいて
お祝いしてくれる。
それだけで幸せだった。
海斗「蒼,20の誕生日おめでとう。」
小学校からの幼なじみの『山内 海斗』。
私の一番の理解者で
私の一番大切な人。
海斗は小学校の頃から見えない私の変わりに色々と助けてくれた。
彼がいなかったら私の存在もない。
いつも優しい彼が大好きだし,いつもそばにいる事でどんなにエネルギーをもらっているか…。
そんな彼も私をお祝いしてくれた。
海斗「さぁ,ロウソク消して。」
海斗が優しく私にロウソクの場所を教えてくれる。
[フゥーーー]
火が私の吹き付けた息で消えると
煙りの匂いがした……
母親「おめでとう!!」
拍手の中に私の嬉しい気持ちがたくさん含まれている。
蒼 「ありがと。」
照れながらも私は皆に感謝した。
父親「さぁ,電気をつけて。」
海斗「了解。」
海斗の足音が聞こえる。
[カチッ…]
私の耳が電気のスイッチを聞いた。
その時だった……
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