■プロローグ■

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何か 暗闇から 一筋の光りが一瞬見えたんだ。 今までに感じた事がない感覚…… ゆっくりと ゆっくりと 私の瞳に綺麗な世界が見えはじめた。 「私,見える……見えるよ!!!」 家族や海斗は何の事かわからない。 そんな中 私の目の中で 白い線で描かれた景色が パステルカラーで塗られていく様に 色がつきはじめる。 海斗「蒼,大丈夫?」 心配する海斗の顔が段々とはっきりと見えてくる。 蒼 「海斗……。」 母親「蒼,どうしたの??」 父親「どこか調子が悪いのか?」 気遣う両親の顔も見えてくる。 蒼 「ママ……パパ……」 涙がたくさん溢れて 見えている景色も水溜まりの様で 私は新しい感覚を経験するだけで こんなにも幸せな事はないと感じるんだ。 蒼 「わ,私……皆が見える!!」 海斗「う,嘘だろ……。」 母親「じゃあ,これは?」 ママが私の目の前で指を二本出した。 蒼 「二本……。」 父親「じゃあ!パパの顔は?」 蒼 「見える。驚いてる(笑)」 海斗「き,奇跡だよ!!!」 蒼 「私,本当に見えてる!!」 この後 私と周りの皆でこの奇跡を喜びあった。 抱き合って 泣いて 喜んで 皆で幸せを分け合う様に。 そして,忘れられない誕生日になった。 奇跡の誕生日…… そして これが始まりだとは まだ誰も気づいていなかった。
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